call someone to my mind.

上田将史のプレーを見るにつけ、私はある人物を思い起こさずには居られない。
共にフェイドアウェイに秀で、リバウンドは確実性を備え、力強いダンクを持つ。そして何より、左ローポストから左へターンしての仕掛けがそっくりなのだ。
右腕で相手を制しつつ、腰を落とし、左足をエンドライン方向へ踏み出すと同時に左手でドリブル。続いて右足を相手より奥へ踏み込むときには、ボールは左の掌中でコントロールされている。
専修戦で撮影したそのシーンの写真を見たとき、「ヨシヤだ!」。誇張ではなく、私は叫んでいた。
菅野芳也。1999年冬、仙台高校・涙の初優勝を遂げたチームの副将であり、2000年度明大バスケ部に入部した(こういう言い方が許されるのであるならば)私の同期であり、2年前の本学の主将である。
他を圧するような強烈な才能のフレアーを感じさせるタイプではなかった(弁才は特に)が、高校・大学と二度、彼を支柱へと押し上げたものは、同期の誰よりもプレーヤーとしての揺ぎ無さを持ち、チームの核として計算が立つことであったろう。
そしてその揺ぎ無さを感じさせる背中が、皆を引っ張っていき、チームを支えた。
私は同じ資質を上田将史にも感じる。
周囲を驚かせるようなプレーは選ばないが、自分の仕事はきっちりと努める。
コート上で目立つタイプではないが、大事なリバウンドを確保し、苦しい場面でのシュートを沈める。
さらに付け加えれば、口数は多なく、周囲のノリに困ったような微笑みを返すことが多いのも、菅野に似ているかもしれない。
正統的で、根元的に研ぎ澄まされた、インサイドプレーヤー。時代は変わっても、チームを支えるのは、そういう存在であると思う。